臨床研究

当医局では画像診断、IVR、核医学、治療の各グループで 臨床研究を進めています。

福岡大学医学部放射線医学教室は各分野の最先端のトピックについて 臨床研究を進めています。

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2014年3月12日

MRエラストグラフィ(硬度画像)の新たな計算software multi-model direct inversion (MMDI) の臨床的有用性の検証

緒言
慢性肝疾患(C 型・B 型肝炎、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎など)において線維化は重要な病勢判断の指標であり、その gold standard は長年経皮肝生検であった。しかしながら、その①サンプリングエラーに基づく再現性の低さ、②侵襲性、③判定病理医間の不一致、など明らかな欠点が指摘されていたにもかかわらず、これに変わるものが無いという理由で使用せざるを得なかった、という背景があった。近年、超音波を始めとして非侵襲的に肝の硬度を測定することで線維化の指標としようとする動きが活発化し、中でもMRによるMR エラストグラフィ(MRE)はその再現性、正確性において高い評価を得つつある。福岡大学病院の保有する 3.0TMR 臨床機(Discovery750W、GE 社)に搭載されたMRE は、本邦初の保険収載された肝硬度測定器として世界でも 3 番目に導入され、実臨床で充分応用されつつある。
一方、現行のMREの撮像自体は16秒の息止めですむものの、その解析には数分以上の時間がかかり、また空間分解能にも制限があること、および硬度測定に適格な部位を示す機能も未だ不十分である、など改良の余地が充分あるのも事実である [13]。次期の新 version の解析 software ではこれらの問題点が解決され、今まで以上の正確性、簡便性をもって肝の硬度が測定可能になる可能性が期待されている。この度、その新たな解析 software である multi-model direct inversion (MMDI) を用いたMREの臨床的有用性を検証するため、GE 社との共同研究として本研究を企画した。MMDIはGE社が福大病院のMR 機に無償提供・インストールする予定である。

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2011年5月18日 桑原康雄 No.(11-5-07)

全身FDG-PET/CTから得られた脳糖代謝画像を用いた統計画像解析に関する研究

緒言
腫瘍患者では、脳転移をはじめ様々な原因により脳機能の異常を来すことが知られている。近年の画像処理・解析技術の進歩により、各被験者の脳画像を解剖学的標準化により標準脳に変換し、画素単位で比較することが可能となっており、脳血流SPECTや脳PET画像では広く利用されている。本研究では全身FDG-PETで撮像したデータから脳画像部分を抽出し、画像の位置ずれ補正や解剖学的標準化を行ったのち統計画像解析の手法を用いて処理することにより、これまで全身断層像の一部としてのみ診断に利用されていた画像をより客観的かつ制度の高い診断に応用することを試みる。

2013年8月5日 高野浩一 No.(13-9-07)

Flow saturation preparation を使用した black blood MRI-3D-GRE-T1WIとFSE-T1WIの比較

緒言
動脈硬化や動脈解離の診断において、MRI を用いた血管壁イメージングの報告が増加している。特に近年、三次元 T1 強調画像(3D-T1WI)の有用性が報告されている。 さらに、ガドリニウム(Gd)造影を併用した T1WI は、血管壁の炎症性変化やfibrous cap などの評価における有用性が期待されている。 血管壁の評価の際には、内腔の信号を抑制して血管壁の信号および増強効果とのコントラストを強調するblack blood imaging の使用が望ましい。しかしながら従来の3D-T1WI では血管内信号の抑制が不十分であった。
近年、拡散強調像の原理を応用した新しいプリパルスである flow saturation prepulse(FSP)を用いた black blood imaging の報告が散見される。 FSP の付加により、血管内信号の抑制と、血管壁病変の描出能向上が期待されている。また FSP は、Gd 造影後 T1WI における血管内信号の抑制にも有用であり、脳転移の検出における病変と血管の識別に有用と報告されている。従ってGd 造影FSP付加T1WI系撮像は血管壁の造影効果の評価に有用である可能性が高い。血管壁増強効果は、血管 病変の検出能向上や、質的診断能の向上に寄与すると期待される。しかしながら、報告されている撮像方法は必ずしも統一されておらず、高速スピンエコー(FSE)系 撮像法が使用されている場合と、高速グラジエントエコー系撮像法(SPGR)が使用されている場合がある。これらのどちらが臨床的に有用であるかの検討は乏しい。

2014年10月31日 高野浩一 No.(14-12-03)

造影後 iMSDE-VISTA-T1WI における血管壁造影効果の検討

緒言
従来、MRIにおける頭蓋内動脈系の評価はtime of flight(TOF)法を用いたMR-angiography(MRA)で行われてきたが、MRAによる評価は主に血管内腔の計上に限られる。近年、動脈硬化や動脈解離の診断において、MRIを用いた血管壁イメージングの報告が増加しており、特に三次元T1強調画像(3D-T1W1)の有用性が報告されている。さらに、ガドリニウム(Gd)造影を併用したT1WIは、血管壁の炎症性変化やfibrous capなどの評価における有用性が期待されている。
血管壁の評価の際には、内腔の信号を抑制して血管壁の信号および増強効果とのコントラストを強調するblack blood imaging の使用が望ましい。しかしながら従来の3D-T1WIでは血管内信号の抑制が不十分であった。
近年、拡散強調像の原理を応用した新しいプリパルスであるmotion-sensitized driven-equilibrium(MSDE)ならびに、その改良型であるimproved MSDE(iMSDE)を用いたblack blood imagingの報告が散見される。iMSDEの不可により、血管内信号の抑制と、血管壁病変の描出能向上が期待されている。またiMSDEはGd造影後T1WIにおける血管内信号の抑制にも有用であり、脳転移の検出における病変と血管の識別に有用と報告されている。従ってGd造影iMSDE付加T1WI系撮像は血管壁の造影効果の評価に有用である可能性が高い。血管壁増強効果は。血管病変の検出能向上や、質的診断能の向上に寄与すると期待される。
Blacl blood imagingにおける動脈壁のGd造影効果は、脳血管障害と関連があることが推測されるが、現時点ではこれらの関連を評価した報告は少ない。

2015年7月22日 坂本桂子 No.(15-7-12)

MRCPにおける経口造影剤の逆流による胆管描出障害について

緒言
MR cholangiopancreatography(MRCP)検査時に、消化管内容物の信号を抑制するために経口陰性造影剤を内服することは、現在広く行われている。当院でのプロトコールでは、乳頭部および下部胆管の評価を目的としてまず2D MRCP画像を撮像し、消化管の信号抑制が必要と思われる場合にのみ経口陰性造影剤を投与し、その後に3D MRCPを撮像している。これは経口造影剤の総胆管内への逆流によりその描出がむしろ不明瞭化したという報告がこれまでになされており、われわれも臨床上経験するためである。
本研究はこの経口造影剤の逆流による胆管描出障害について、その頻度や臨床情報(年齢、性別、十二指腸乳頭部への侵襲的治療の既往の有無、リンパ節郭清を伴う胃の手術歴の有無、十二指腸憩室の有無、胆管気腫症の有無、胆石の有無、使用したMR機種等)との関連性について単変量および多変量解析により検討する。
この結果は個々の患者に応じた検査やその画像評価を行う一助となると考えられる。